引き続きタイタニック沼に沈没事故を起こしている今日この頃、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか?
私はというと、タイタニック視聴後、タイタニックのことしか考えられなくなる奇病に冒されてしまい、関連のWikipediaを読み漁り、ネットやSNSで調べまくり、挙げ句周囲の人々に「タイタニックとともに沼に沈没した…」と支離滅裂な発言をするなど、黒歴史を絶賛更新中です。
諸々調べていた折、BSNHKプレミアムは世情に明るいのか、この1〜3月にレオナルド・ディカプリオ祭りを疑うレベルで過去の映画作品を放送しているようで、偶然にも家族が既に「ロミオとジュリエット(レオナルド・ディカプリオ版)」を録画していました。
今後についても、軽くスクロールしただけで、3月は「ギルバート・グレイプ(What's Eating Gilbert Grape)」「 華麗なるギャツビー(The Great Gatsby)」の2作品を無料放送予定だと記されていたので、やはりジェームズ・キャメロン監督タイタニック25周年を見越して調整した、慧眼を持つ選定者が働いているのでしょう、流石はNHK。
https://www.nhk.or.jp/bscinema/calendar.html?next=
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プロフィールに駄文を連ねているとおり、映画が趣味の一つなので、それなりの数を観てきた自負があるのですが、それでもまだまだ観ていない映画は果てしなくあるもので、タイタニック視聴後、Wikipediaの海を泳いでいたところ、「タイタニック前後の出演作でこれはまだ観てないな?」といった作品がいくつかありました。
愚かしくも早速映画「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」「太陽と月に背いて(原題:Total Eclipse)」を観ましたので、近況報告がてら簡単に触れたいと思います。
※なお、後者については英語しかない環境でした(詰み)。
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まずは「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」について。
どこからか「タイタニックを観たことある人が漂着するのがこの映画」という話を耳にしましたが、それもそのはず、タイタニック主演の二人が本作でも主演を務めており、ジャックとローズの現代版かつIF 結婚ルート的な見方をする人もいるかもしれません。
しかし、残念ながら幸せは束の間で、開幕タイトルコール後からじわじわと地獄が始まるので、キャストだけで選び、タイタニックの余韻の勢いでこの映画を観てはいけません(そんなノリで観た人がここにいます)。
主演キャストが同じでも、タイタニックに引き続き本作も悲劇のため、そこに救いはありません。
ただ、2度目の沈没事故(精神)が用意されているのみです。
少なくとも結婚こそしてはいますが、開始5分で出会いから結婚までの幸せのひとときが済んでしまうので、大部分をストレスを抱えながら観ることになるでしょう。
ちなみにタイタニックで「不沈のモリー・ブラウン」と呼ばれていた心強い味方役だったおば様、キャシー・ベイツも登場しますが、火に油を注ぐ配役なので、ファンにはなおさらツラいことでしょう。
挙句の果てには、タイタニックとは逆にケイト・ウィンスレットの死で物語は幕を閉じるので、どこまでもツラいです。
話題になった作品でそこそこ知名度はあるので、詳しい内容やあらすじなどは割愛しますが、重ね重ね、打ちのめされた映画であったと改めて記しておきます。
キャストの演技が素晴らしく上手であることがより一層、地獄の輪郭を克明にしています。
地獄に向き合う体力のある方は是非。
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続いて「太陽と月に背いて(原題:Total Eclipse)」について。
そうです、この映画は日本ではもう既に廃盤になっているので、観たことがある方は少ないかと思います。
もはや非母国語界隈でしか生きていけないという厳しい現実が沼あるある。
それでも今までパナマに課金するなど過酷な沼環境で英語に散々虐められてきた筆者にとっては、これでも恵まれた条件であることを身にしみて理解しています。
とはいえ、今回については見通しが甘かったです。
そんな甘々見通しの前に概要だけ先に提示しておきます。
(なにせ廃盤になってるレベルなので、知らない人が多いと思ったので)
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【映画の概要】
1.あらすじ
19世紀のフランスやベルギー・イギリスを舞台に、実在したフランスの天才詩人ランボーと流行詩人ヴェルレーヌの破滅的な愛を描く。主演は『タイタニック』のレオナルド・ディカプリオ。
2.監督など
監督: アニエスカ・ホランド
脚本: クリストファー・ハンプトン
撮影: ヨルゴス・アルヴァニティス
音楽: ヤン・A.P.カズマレク
出演: レオナルド・ディカプリオ/デヴィッド・シューリス/ロマーヌ・ボーランジェ/ドミニク・ブラン
3.内容
19世紀。大詩人ポール・ヴェルレーヌ(デヴィッド・シューリス)のもとに、才気あふれる16歳の天才詩人アルチュール・ランボー(レオナルド・ディカプリオ)が訪れる。
若く美しく才能あるランボーに次第にヴェルレーヌは惹かれるが、嫉妬と愛憎入り混じる激しすぎる愛ゆえ2人は別離を繰り返し、やがて酒と銃撃事件を契機に決定的に愛は破滅し、ランボーは絶筆に至る。
そんなランボーとヴェルレーヌの激しすぎる関係を軸に、2人の出会いからランボーが孤独な死を迎えるまでを描いた耽美的作品。
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フランスの叙情詩の映画という時点で、観る前から使われる英語にたじろぎました。
特に押韻(rhyme)。
完全韻は耳でなんとなく理解できますが、その他の韻(例えばoblique rhyme or slant rhymeがあまりピンと来ない)は馴染みがなく、そして何より元々はフランス語の詩だということ。
フランス語→英語の作品の時点で、本来のフランス語での押韻を感じ取れないので、真の意味でこの映画を鑑賞することができませんでした。
また、初めは字幕環境もなかったので、個人利用の範囲かつ著作権に問題のない範囲で英語字幕を用意して、万全を期して臨みました(なかなか勇気が出ず、再生ボタンをタップするまでに3日も空けてしまいました。)
思えば、今まで観てきたラブコメのダイアログは英語でもレベルが低いため自分でもなんとか走れてきたのですが、英語圏の英語の映画かつ、本来はフランスの話、加えて詩人の話なので言い回しや語彙・背景が過去の沼より難しい気がしました。
(それでも1995年公開の、若者が主役の映画なので究極的にはまだまだ平易な部類にカテゴライズされるのでしょう、自身の力不足を痛感しています)
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さて、感想について。
16歳の役とはいえ、出演当時22歳前後と全盛期のため、やはり顔面の美しさが、そして瑞々しい若さが迸る映画で、破天荒かつ鬼気迫るような演技には脱帽ものでした。
(具体的にはナイフを恋人の手に刺したり、家具を壊したり、犬の真似をしたり等)
大恋愛をした経験がないので、こういった激しい愛憎劇や暴力にはどうもあまり理解できないのですが、共感はせずとも実在した詩人の話として教養的な観点でランボー自身を調べながら映画鑑賞しました。
そうそう、初めて知ったのですが、海外TwitterのGIFで散見されるレオナルド・ディカプリオの「How Am I Supposed To Live?」のシーンもこちらの映画からの抜粋でした。
(恥ずかしながら、「ロミオとジュリエット」だと思い込んでました)
※「How Am I Supposed To Live?(これからどうやって生きていけばいいの?)」だなんて、私が言いたいくらいです。いや、本当にこれからどうやって生きていけばいいのでしょう?もはや何が正解なのかわかりません。
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ああ、タイタニックという映画は恐ろしいですね。
人間を底知れぬ沼へと沈没させるに飽き足らず、その先に待ち受けているのは様々な形をした不毛な愛の問題の数々。
おかしいですよね。
新約聖書に収められた書簡の一つ「コリントの信徒への手紙Ⅰ 13章4〜5節」によれば、
【愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず、高ぶらない。礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない。 不義を喜ばず、真実を喜ぶ。すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える。】
とあるのに、全部が全部不憫すぎるじゃないですか。
一体、この沼の終着点は何処…?